京都の嵐山に、星野リゾート(長野県)が旅館「星のや京都」(西京区嵐山元禄山町)を開業する際、風致地区の規制を無視した現状変更の疑いがあるとして、京都市に公開質問書を提出していた住民団体は28日、市からの回答書とそれに対するコメントを発表しました。コメントでは、「同社による現状変更が先行して行われ、それを事後的に追認する形で市が許可したのではないか強く疑われるものとなった」としています。
 コメントを発表したのは、「京都・水と緑をまもる連絡会」と「京都・まちづくり市民会議」の2団体。回答は、同社が大幅な現状変更しないことで市の許可(08年9月)を受けながら、新たな施設建設を行うなど当初の許可方針から逸脱し、開業直前に市に新たな許可を申請(09年12月)。これを市が許可(10年1月)したのは、無許可の追認ではないかという質問に対するもの。
 回答書では、市が当初の許可(08年9月)を行った後、同社から「工作物の位置や数量の変更」などとあわせ貯湯槽の新築について、「当初の計画位置に設置できなくなったことから、新たに現状変更行為の申し出があり」、「当該変更工事が着手される前に確認し、了承」。その後で、「事務上の取り扱いとして」、市は09年12月4日付けで、同社から許可申請書を受理し、10年1月4日付けで許可を行ったとしています。
 同会議の中島晃弁護士は、「これでは回答になっていない。公開質問書で指摘した疑いが一層強くなった。引き続き、市に問題点の解明を求めていきたい」と話しています。
 「星のや京都」は、旧老舗旅館「嵐山温泉嵐峡館」の経営を引き継いだ同社が09年12月、高級和風旅館として再建、開業したものです。