2010京都府知事選挙
宇都宮健児・成宮まり子対談 反貧困を政治の課題に
「自己責任」と思わせる
宇都宮 今の貧困には、「関係の貧困」もあります。頼れる家族や友人もなく社会的に孤立してしまう。この間の「構造改革」路線が人間関係をずたずたにしてきた結果です。人間のつながりや支え合い、思いやりの関係を断ち切り、孤立化させて最後は「自己責任」と思わせたところが一番の問題かもしれません。労働者派遣法の改正など制度の改革も当然必要ですが、原点は人間のつながり、連帯を復活させることが貧困打開の大きな基礎になると思います。
成宮 同感です。京都駅での活動を通して、この1年近くの間に30人以上の方の生活保護申請を支援してきました。当初は申請自体もなかなか大変で、申請できればそこで終わっていましたが、その後、受給できた人から「いつまでも仕事を見つけられず困っている」「ひとりぼっちでは頑張れない」という相談が入るようになりました。いま、そういう人たちが「反貧困ボランティア」に帰ってきているんです。路上から“脱出”して、今度は支援する側になって、生きがいや人のつながりを見つけて、人間関係の回復に踏み出していっています。本当にうれしいです。
やっぱり、人間らしい生活を取り戻そうとか仕事を見つけようという意欲、前向きに頑張ろる気持ちはひとりでに備わるものではなくて、居場所があって、人間同士の関係の中で励まし合いながら培われていくものなんですよね。「構造改革」路線がばらばらに断ち切ってきた人間への信頼を取り戻すことが政治や社会の仕組みを変える力になるんだと感じます。
宇都宮 そうですね。多重債務問題では「被害者の会」ができたことが大きかった。周りから責められても、そこの場では温かく受け入れてくれ、いろいろ話すうちに取り立ての理不尽さや高金利の問題などにも気づき、自らの境遇を告発できるようになります。そういう当事者の集まりは、自己責任論を乗り越える反貧困の大切な取り組みのひとつだと思います。
成宮 当事者たちの立ち上がりとともに、貧困問題に正面から向き合おうとする若い世代が広がっていることはすごいと思います。「反貧困ボランティア」の活動の中心も大学生です。自身も高学費やアルバイト、「就活」で大変なのに、それでも社会の現実を知り、人の役に立ちたいといって頑張っている姿に、阪神大震災の時をほうふつとさせるようで、本当に励まされます。
宇都宮 若い人たちの間で、地に足をつけた新しい社会運動が広がっていることは心強いですね。
反貧困ネットワークは京都の設立で18都道府県になりました。10年は全都道府県につくりたいですね。ネットワーク自体が「関係の貧困」を解消する場になるし、当事者の思いを受け止めて、政府や自治体にアピールすることができます。
成宮 昨年、年越し派遣村から始まった、「反貧困」の世論とたたかいは“政権交代”という政治を動かす力になりました。この力をもっともっと前に進めて、貧困のない社会を実現するところまで動かしていきたいですね。
宇都宮 ええ、私たちが求めていた貧困率の測定は実現しましたが、肝心な貧困率の削減計画は示されていません。今こそ運動が重要ですね。
成宮 京都でも国民の要求にこたえて政治を動かしていきたい。なにより、貧困を打開し、雇用、命と暮らし、営業を守る仕事を国会でやりたいと思います。
宇都宮 政権交代は、「構造改革」路線への国民の怒りが爆発した結果でした。さらに政治を前に進めるために、10年は大事な年になりますね。ぜひ頑張ってください。
成宮 ありがとうございます。国民の力で政治が変わったといえる年にするために頑張ります。






