湯浅誠・春原雄策 立命館大学びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)で8日開かれた学園祭で、「年越し派遣村」村長の湯浅誠氏と「ワーキング・プア」(NHKスペシャル)プロデューサーの春原(すのはら)雄策氏がパネルディスカッションに登場しました。同大学の学生サークル民科経済研究会が主催したもので、会場には学生など約170人が参加し、二人の話を聞き入っていました。
 春原氏は基調講演で、番組に出演した貧困に苦しむ人たちの実態を紹介しながら、「貧困問題を社会全体のものとして考えよう」と呼びかけました。湯浅氏は、現在の貧困と自己責任論が生み出される背景について示唆に富んだ報告を行ない、「この貧困から自分だけ生き残ろうとするのではなく、どう生きやすい社会にするか知恵をしぼり合おう」と呼びかけました。
 パネルディスカッションでは、学生からのアンケートの中で「貧困は社会の責任だというが、自己責任はないのか」という問いに対して湯浅氏が「今の社会は全てのことが自己責任で片づけられる。なぜ年収が1000万円でなく、500万円なのか、それはその人が怠けているからだ、という。その論を聞いた人は、怠けた経験があるから納得してしまう。しかし、自己責任だと説明しても社会は前に進まない。何もかもを自己責任で片付けることは意味がない」と答えました。このほかメディアの果たしている役割や国家戦略室の意図などについて質問が出され、活発な議論が行われました。(O)