近畿原爆第2次訴訟 近畿原爆第2次訴訟の控訴審が15日行われ、大阪高裁(永井ユタカ裁判長)は、未認定原告5人のうち4人(京都2人)を原爆症と認める判決を言い渡しました。これで国は、集団訴訟で17連敗となり、一刻も早い全面解決が求められています。
 判決は、「DS方式(国が原爆症認定に採用している被曝放射線量推定システム)は、理論と実験による仮説であり、被爆者の実際の被曝事実を取り込んだものではないから、被曝線量の総量を推定する手法としては、経験的適合性あるいは総合性を確保したものであるとまではいえない」として、厚生労働省が昨年4月の新基準採用後も頑なに認定を拒みつづけてきた「体内異物(ガラス片残留)」「入市被爆者の心筋梗塞」「肝硬変(肝機能障害)」についても原爆症と認めました。
 しかし判決が、認定審査において原因確率10%を境にして認定と却下を区分した事実を認めながら、何ら根拠を示さずまま国家賠償責任を国に認めなかったことは、きわめて不当なものと言えます。
 高裁判決は、集団訴訟でただ一人「救護被爆者」として訴えていた京都の原告・森美子さんについては、原爆症とは認めませんでした。しかし判決は、救護被爆者についても、「放射線の内部被曝又は外部被曝をした可能性そのものは否定できない」と指摘しており、救護被爆者に原爆症認定への道を切り開くものとなりました。(小杉功)