京都市発注の市東北部クリーンセンター(左京区)の建設工事をめぐり、談合企業に約24億円の返還を命じた住民訴訟に勝訴した住民が、市に弁護士報酬約1億9300万円の支払いを求めた訴訟の判決が9月30日、京都地裁であり、吉川慎一裁判長は市に約3000万円の支払いを命じました。
 住民訴訟勝訴によって、市は国への補助金返還分を除く約15億9150万円の収入を得ました。しかし、地方自治法で原告勝訴の場合、自治体が負担すると定められた弁護士報酬については、「経済的利益が算定不能(800万円とみなす)」として190万円を主張。住民らは、京都弁護士会の報酬規定に基づく支払いを求めていました。
 判決では、勝訴で自治体が得た経済的利益のほか、弁護士の訴訟活動に要した時間や労力、事件の性質・難易度などを考慮すべきとして、報酬を約1億442万円と算出。その上で、「自治体財務行政の適正化という高い公益性を有し、大幅に低い金額が設定される」として約3000万円に減額しました。
 判決後の会見で弁護団は、「『算定不能』という市の主張を否定し、自治体が得た経済的利益を考慮すべきという判断までは評価できるが、減額理由は論理矛盾であり納得できない」「(報酬額は)市が不法行為をした談合企業に請求できる範囲の金額」として控訴する方針をのべました。原告の野村政勝さんは、「行政や大企業の不正・不法行為と立ち上がる住民を押さえつける判決」と批判しました。