源氏物語絵巻 徳川美術館と五島美術館が所蔵する国宝「源氏物語絵巻」を見事な木版画にした川面義雄(1880─1963年)の版木を使い、「京の名工」刷師が6日、半世紀ぶりに絵巻の一場面を再現する模様を京都市中京区の芸艸堂で公開しました。
 川面義雄の木版画は1943年から20年かけて作製されたもので、はく落や退色した色合いも含め「源氏物語絵巻」の忠実な再現として名高い作品です。
 今回、京都文化博物館の依頼を受けて川面の精巧な版木を使い、刷りを行ったのは米田蔵浩さん(78)=京都市伏見区です。「源氏物語絵巻」の中の第50帖東屋の場面の詞書1枚と絵1枚を刷り上げます。
 絵1枚に、版木を35面使用し、56工程を経る作業は完成まで約2カ月を要します。この日は、十二単の袖や裾からこぼれる赤の色を、一枚一枚刷りを足していく作業を行いました。
 できあがった作品は、「源氏物語絵巻」の代表的模写、田中親美(1875─1975年)の模本や川面の木版本源氏物語絵巻とともに、9月26日から京都市中京区の文化博物館で展示されます。