京都市教委が市長選に向けて門川大作市長(前教育長)のインタビューなどを掲載した市販本1300冊を購入し、教育関係団体などに配布したのは同氏を当選させるための選挙運動に当たり、公職選挙法(物品供与、公務員の地位利用)に違反するとして、自由法曹団京都支部は24日、門川市長、高桑教育長など当時の市教委幹部ら4人を京都府警本部に刑事告発しました。
 告発状では、同書が門川氏の実績宣伝のために市教委事務局が深く関与して編集・製作されたと指摘。同氏の出馬が確実となってから市教委は大量注文し、購入した8割を全小中学校やPTA連絡協議会など市教委の影響力の強い団体・個人へ配布するなどして市長選で門川氏を推薦・支持し、当選させるために行われたことは明らかとしています。
 市販本は昨年12月に出版された、「教育再生への挑戦 市民の共汗(きょうかん)で進める京都市の軌跡」(PHP研究所編、1365円)。門川市長のインタビューが12㌻にわたり写真とともに掲載されているほか教育長として推進した教育改革の内容を詳細に紹介し、同氏が選挙戦で繰り返し訴えた「共汗」をタイトルとしています。
自由法曹団京都支部の福山和人弁護士は、「言論・表現の自由は最大限保障されるべきだが、市販本を使った行政ぐるみの選挙運動は市民の意思決定を不当にゆがめ、選挙に不公正を持ち込むもの」と話しています。