京都平和委員会は22日、政府・防衛省に、海上自衛隊イージス艦の漁船衝突事故に抗議し、真相究明を求める文書を送付しました。 文書では、政府・防衛省は救出活動に総力をあげることを要請し、なぜ「法令遵守」「安全確認の徹底」ができないのか真相究明を求めています。
 全文は以下の通り。
 海上自衛隊イージス艦「あたご」による漁船衝突・沈没事故に強く抗議する!
 全力で行方不明の二人の救出と事態の真相を究明せよ!
 海上自衛隊のイージス艦「あたご」が小型の漁船と衝突し、漁船の乗組員2名が行方不明となる事故が起きました。いま、最優先で取り組むべきことは、吉清さん父子の救出であり、政府・防衛省は救出活動に総力をあげて行うことを強く要請します。
 「あたご」は昨年舞鶴に配備されたばかりの最新鋭のイージス艦で、昨年秋からハワイ周辺でミサイル機能の評価を受けるため出航しており、まさに日本に戻る直前の事故となりました。ミサイル迎撃実験で「成功」を収めたという「こんごう」同様、性能の認証という成果を持って帰ってくれば、ミサイル防衛の基盤が整いつつある、とでも発表したかったのでしょう。そうした浮き足だったなかで起こった事故ではないでしょうか。
 安否がわからない清徳丸の乗組員吉清さんの弟さんは「この寒い気候のもとで海に放り出されたらどうなるかわかっているはずだ。船に乗る資格はない。日本を守る資格などない」と自衛隊への強い憤りを表しておられます。
 今回の事故について、最大の要因は、自衛隊が米軍と同様、艦船の運行計画などを軍事機密として明らかにせず我が物顔で航行するなど「軍事優先」「人命軽視」にあり、安全がおろそかにされてきたからではないでしょうか。事故は、自衛隊に回避義務があったにもかかわらず、衝突直前まで措置が遅れるなどの問題が明るみに出ています。なぜ「法令遵守」「安全確認の徹底」ができないのかその真相を政府は徹底していくことを強く求めます。
 同時に、米軍再編と日米軍事一体化、膨大な税金を投入するミサイル防衛など「ムダと利権」の軍事費大国化は、アジアと世界で進む平和への流れに逆行するものであり、私たちは、軍事予算の大幅な削減と、危険を増大させている日米安保条約の廃棄を強く求めるものです。