元京都市幹部12氏が、「恫喝的、独善的、企画労務型市政を断ち切り、健全な市政の再建を」と訴えるアピール(全文は別掲)を発表し、市役所や市民の間で衝撃が走っています。
 訴えたのは、清水武彦(元経済局長、前京都市職員退職者会会長)、浅野美智子(元市病院総看護婦長)、飯沼昭男(元左京区役所副区長)、狩野勝也(元水道局総務部長)、寺田富夫(元伏見福祉事務所長)、豊田慶治(元市民相談室長)、西村清忠(元上京区役所副区長)、藤江正昭(元児童相談室長)、藤田健(元下京区役所副区長)、三谷直之(元勤労市民室長)、三家多賀成(元市立醍醐図書館長)の各氏です。
 このうち、清水武彦・元経済局長・前市職員退職者会会長(78)は、次のように語っています。
 「京都市長選挙で、特定の候補者の応援をするのは初めてです。中村さんを推す一番の理由は、『庁内候補』はもうやめにしてほしいからです。私は富井清元市長の秘書課長もやり、民間人の発想の豊かさ、柔軟さを知っています。
 桝本(頼兼・現市長)氏も門川(大作候補)氏も、教育委員会の企画労務係から教育長になった同じ経歴の人物です。この企画労務係は、単なる労働組合対策だけでなく、教育委員会の中枢機関で、敵か味方かを基準に動く独善的組織です。
 市の局長会で、もうやめようとなった同和事業を教育委員会だけは継続し、煮え湯を飲まされたことが何度もあります。桝本市長は、教育委員会のやり方を市政運営全体に持ち込みました。
 今回、幹部職員OBでアピールを出したのも、教育委員会出身の市長のもとで12年間も辛抱を重ね、もう限界にきているという現職やOBの声なき声を代弁する必要があると思ったからです。
中村さんのマニフェストはよくできていると思いました。交通対策では高速道路のストップを掲げていますね。京都市の交通網からして、高速道路を導入すれば道路がパンクし、地球温暖化防止にも逆行するのは当然です。
 中村さんで、ゆがんだ市政を断ち切り、公正な行政を期待します」(「しんぶん赤旗日曜版」2月17日号)


 アピール全文は次の通りです。
 私たち京都市役所退職者有志は、京都市職員による不祥事の続発を市民の方々に真に申し訳なく思い、退職者を含めた全ての関係者が心を一つにして一日も早く健全な京都市政の再建に当たることを願っております。
 そのためには、従来のしがらみにとらわれず、市民の目線に立った感覚と識見で市政を指導できる方に市長になっていただきたいと考えています。
 1996年以来3期12年間続いた桝本市政の特徴は「京都市教育委員会・企画労務型」というべきものでした。
 京都市教育委員会の企画労務係という職制は、市教職員組合に対抗するために1956年に総務課に特設された労務対策の専門組織であり、かつ、教育長の特命による調査・企画立案、市議会関係事務、報道機関との連絡調整、他の部や室の所管に属さない事項を所管する市教委の中枢機関です。その性格上、物事を敵か味方かの視点から判断しがちです。
 桝本氏の行政経歴は企画労務係員~同係長~総務課長~次長~教育長という企画労務畑に偏したものでした。従って、桝本氏は、与党有力者や地域ボスには迎合する反面、批判勢力は敵視し、一般市民には上から教示する姿勢を取りました。市役所の主要ポストを自分に従順な市教委出身者で独占する反面、批判的意見を持つ幹部職員には恫喝的態度で臨むなど、独善的な市政を行ってきました。このため、行政の公平性、民主性が失われ、職員の士気は著しく低下しています。
 京都市役所には、大正デモクラシーの推進にも貢献した旧社会課の名誉と伝統を受け継いで、平等・民主・公正を重んじる空気が高山市政から田辺市政まで続いてきました。
 私たちは、「桝本市政の継承」によってこれ以上、「企画労務型市政」が継続するならば、市役所内の閉塞感はますます強まり、この良き伝統が失われることを憂えます。
 今回の市長選挙にあたって、「企画労務型市政」を断ち切り、健全な京都市政を再建するために皆さんの権利を行使してくださるよう訴えます。