映画美術の名匠、西岡善信さんの60年の軌跡を記した『シネマの画帖 映画美術監督 西岡善信の仕事と人々』(画・西岡善信、文・井上理砂子)がこのほど出版されました。
 西岡さんは、大映京都撮影所に戦後まもなく入社。伊東大輔監督の『王将』を皮切りに、今までに161本の作品で美術監督を務めています。
 カンヌグランプリ’54年受賞『地獄門』、『利休』、『炎上』、『吉原炎上』、『たそがれ清兵衛』『バルトの楽園』など、かかわった代表的作品と監督、俳優にまつわる様々なエピソードとともに、スケッチが豊富に掲載されて、美しい本となっています。
 『炎上』では、金閣寺を模した寺を原寸大で建て、炎上シーン用に半分のミニチュアも作り、見事に燃え上がる寺のシーンをつくりあげたことなどなど、興味がつきない話が満載です。
 「週刊しんぶん京都民報」では05年に1年間にわたって、「京都の映画史 西岡善信の世界」を連載しました。
(淡交社・143㌻・2800円+税)