9月中旬の京都のすくなからずの寺社では放生会(放生祭)が行われ、生きた川魚や鳥たちを放ちます。起源は定かでないですが、左京区の三宅八幡宮の放生祭は数年前までは白鳩を放って五穀豊穣を願っていました。また、中京区にある法華宗本山で本能寺の変で有名な本能寺の放生会(ホウジョウエ)は室町時代からの伝統行事と伝えられます。
 本能寺本堂では、生命の殺生を慎みあらゆる生命に感謝する法要を営みます。鴨川三条大橋の河原まで壇信徒が法要行進してきます。河川敷で僧侶が唱える読経の中で壇信徒達が生きたコイ、フナ、ドジョウ、ウナギなどを流し解き放ちます(写真)。三条大橋の欄干からたくさんの人たちが何だろうという顔でのぞきこんでいました。
 解き放ちの法要が奉修した後、代表僧侶は説教で「いま世界中で戦争が勃発しています。そして、自衛隊も海外派兵で大問題になっています。政教分離で口は出しませんが、世界平和への一人一人の精進を願うものです」と説き、平和や命の大切さを訴えました。
 放生会べに紐(ヒモ)かけて雀籠〈鬼城〉
(仲野良典)