秋らしい涼しい夜でした。蔵王堂光福寺への参道は、ぎっしりの人です。両側の露店に挟まれて、狭い道を帰る人と向かう人で体がくっつきそうです。
 子どもの頃、夏休みの最後の日、親に連れられ、蔵王さんに行きました。覚えているのはクライマックスの獅子と土蜘蛛のからみだけです。ぱっと撒かれる蜘蛛の糸が欲しくてたまりませんでした。
 何十年ぶりでしょう。8時過ぎ、ちょうど鉦と太鼓と笛の囃子が始まったばかりでした。いろいろな囃子が演奏され、圧巻は「四つ太鼓」でした。拍手喝采です。ピーヒャラ ピーヒャラ、テンツク テンツク テンテンツクと久しぶりに生演奏を楽しみました。最後の獅子が五段の基盤に乗ったときは「うわあー」と歓声があがりました。失敗もありましたが「もう十分やで!」と声援のかかるのがうれしい八朔祭でした。
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 六斎念仏は、空也上人が、仏教を広めるために、鉦や太鼓をたたいて行ったとされる踊躍念仏が起こりといわれ、毎月の6カ日の斎日(8・14・15・23・29・晦日)に念仏を唱えたことが名前の由来とされています。国から重要無形民俗文化財の指定を受けています。久世は芸能六斎系で、太鼓、鉦、笛を使って、謡曲や長唄などから取材した曲や獅子舞、祗園囃子なども演じられます。民衆の娯楽として発展してきました。(「京都通百科事典」より)(喜)