有権者への働きかけを飛躍させ歴史的勝利を
渡辺和俊・日本共産党京都府委員長に聞く

 7月12日公示、29日投票の参議院議員選挙の月に入りました。京都の情勢と、日本共産党が勝利するには何が必要かを、同党の渡辺和俊府委員長に聞きました。
崩れる自民党の支持基盤、強まる共産党への注目・関心。比例前進のチャンス
 情勢の特徴について聞かせてください。
 渡辺 安倍内閣の支持率は、発足時に6割以上あったのが、今では3割前後に激減しています。不支持率はついに57・7%になりました(「京都」6月25日付)。「参院選で投票したくない政党」は、自民党が3年前の19・2%から倍増の36・1%です。民主党も7・9%から10・3%に増え、一方、日本共産党は19・5%から14・4%に減りました(「読売」6月8日付)。
 今どこでも聞かれる声はこういうものです。「国保料が高すぎる。こうなると分かっているのに『純ちゃん、純ちゃん』と小泉を応援した国民が間違っていた」、「増税通知が届いて、頭にきた。自民党は許せない。今度は共産党に入れる」。府北部のある自民党元議員は「安倍のやることは全部戦争につながっている。老人会で集まると、このまま行けば戦争だ、と言う話になる」と言います。
 「安倍さんは庶民の暮らしが分からない」「他のことはともかく9条を変えてはならん」 「公明党に牛耳られるのは腹立たしい」「何でも数の力で押し切るのはよくない」。従来、 自民党を支えてきた保守の人々がこのような思いから日本共産党に注目し、 まだ支持には至らないけれど、「共産党の言うことも聞いてみよう」という気分が生まれています。
 こうした変化のもとで、今後の奮闘いかんで比例650万票実現、井上さとしさんをはじめ5議席獲得は十分可能な情勢です。
対決構図鮮明。成宮勝利のチャンス
 京都選挙区(定数2)の情勢はどうでしょうか。
 渡辺 京都選挙区の対決構図は、「暮らしでも憲法でも命まもる成宮議席か、弱者切り捨て、9条を変えて戦争する国に突き進む自公・民主か」です。鮮明になった対決構図が広く府民に知られれば、 成宮まり子さんで議席を奪還するチャンスです。
 6月24、25両日付の京都新聞の紙上討論で、 候補者の対比はさらに浮かび上がりました。 増税反対、「難民」を生む弱者切り捨て政治批判、改憲反対を主張する候補者は成宮まり子さんだけです。
 自民党・西田候補は、安倍首相の「戦後レジームからの脱却」に「わが意を得たり」と言い、「利己主義が横行する」と福祉を攻撃し、男女共同参画社会を否定する人です。西田氏のスローガンは「伝えよう、美しい精神(こころ)と自然(こくど)」「日本の背骨を取り戻そう」です。主張の内容は、戦前の日本への回帰をめざすものです。
 西田氏が党機関紙「自由民主」紙上で仲良く握手した中川泰宏衆院議員(京都4区)が、18年間も自宅などの固定資産税を払っていなかった事件は、この陣営への府民の新たな怒りを引き起こしました。
 民主党・松井候補は、9条を変えると主張し、「構造改革」 路線を推進してきた人です。ところが、紙上討論では「日本は諸外国に比べ社会保障費の支出が少なすぎる」と発言、小泉路線に手を貸して社会保障を削ってきた民主党と自らの本当の姿を隠しています。
 また、秘書給与の肩代わり、自らの給与と政治献金をもらうなど、村上ファンドとの癒着に反省もない金権政治家です。さらに、世界を怒らせたワシントンポスト紙の「従軍慰安婦」強制を否定する意見広告に、北神(比例)・泉(京都3区)両衆院議員が名を連ねました。これは、京都の民主党の不見識をさらけ出したものです。
 京都の公明党は、まだ「西田推薦」を決めていません。前回01年選挙で、松井氏が公明党・創価学会の応援を受けたことはよく知られています。“西田氏でも松井氏でも大した違いはない。共産党さえ通さなければよい”。公明党の態度はそういうものです。
 定数2で成宮さんが勝てば、「2大政党づくり」の大きな流れのもとで、その一角を崩し、21世紀の政治革新の先駆けとなり、日本と京都の政治情勢に新しい局面を生み出すことは間違いありません。
 自民党の支持基盤に攻め込んで、「安倍にはついて行けない」という保守の方々とも大いに対話し、支持を広げたい。そして、新たに決まった比例候補(2次)、こくた全(あきら)・民青同盟府委員長を先頭に、若い世代の中で大いに党と成宮候補を語り、これまでにない支持を獲得したいと思います。
安倍の暴走止めるのはどの党・候補者か 「たしかな野党」の値打ちを縦横に語ろう
 この選挙で日本共産党とし ては、どんな訴えをしていきますか?
 渡辺 どの問題でも「たしかな野党」としての日本共産党の国会議席の値打ちを、他党との対比で訴えたい。国民が安倍自公政権の暴走に批判と警戒感を強め、増税・負担増に怒っているだけに、「安倍の暴走を止めて暮らしと憲法を守れるのはどの党、候補者か?」という訴えの角度が大切です。多くの人が安倍自公政権には怒っている、民主党も「もうひとつやなあ」と思っている、しかし、「共産党も小さいしなあ」という気分があります。
 暮らしを壊す暴走との対決では、日本共産党はこの30年来280回もサービス残業を国会で告発し、この5年だけで850億円不払い残業代を払わせました。また、昨年の国会でサラ金の金利規制を強化する法律改正を実現しました。企業献金、サラ金業界の献金と無縁な日本共産党だからこそできたものです。
 民主党は議席が多くても、財界から通知表で採点され、大企業から献金をもらっているため、サービス残業の横行など大企業の横暴勝手にはモノが言えません。
 「戦争する国」に向かっての暴走に対しては、日本共産党は先日、自衛隊の恐ろしい「国民監視」の実態を暴露しました。自衛隊は、イラク戦争反対のデモにとどまらず、消費税増税反対の集会や新聞記者の取材まで身分を隠して写真を撮り、市民の個人情報を特定して記録していました。
 ところが、自衛隊の「文民統制」 をすべき久間防衛大臣は、「どこが悪い」と居直りました。憲法9条を変えて「戦争する国」をめざす安倍内閣のもと、政府・防衛省の居直りを許せば、日本の平和と民主主義は重大な危機にさらされます。この暴走に立ちはだかるのは日本共産党以外にありません。
 ホットな問題、「消えた年金」ではどうでしょう。日本共産党は「5つの緊急対策」の第1番目に、「不安なら問い合わせをではなく、国がすべての受給者、加入者に保険料の納付記録をただちに送る」という「1億人レター作戦」を提案しました。6月25日には、 自民党の中川幹事長も政府に同じことを求めました。日本共産党の提案の道理と現実性が証明されたわけです。
 与党も野党も知恵を出して1人残らず救済できる、責任ある打開策を考えるべき時に、これを政争の具にする態度をとる政党があるとしたら、その党は国民に見放されるでしょう。その点で、日本共産党の提案に自民党が同調したことは、極めて重要なことです。
暮らし・平和守る成宮候補
 成宮まり子さんはがんばっていますね。公示日に向かってフル回転です。
 渡辺 ええ、「弱者を切り捨てる政治に立ち向かいます!子どもの未来に戦争アカン!」と大奮闘です。
 成宮さんはこの1年間、若い仲間とともに府内全域で10万枚の「青年雇用アンケート」を配布し、1000人の青年労働者のナマの声を集める先頭に立ちました。これをもとに、深刻な実情を国や京都府にぶつけ、 正規雇用の拡大とサービス残業・偽装請負の根絶を要求しました。この取り組みが党府議団の議会論戦と結びついて、京都府では全国に先駆け、正規雇用の拡大を助成する制度を実現させたのです。
 平和・憲法を守る問題でも、京都市立芸術大学出身者として、画業半ばで戦地に散った先輩たちの無念の思いを語り、「私の子どもが、人を殺したり、殺されたりするような未来は、絶対に許すことはできません」と訴えています。立場の違いを超えて全国に広がった「9条の会」のみなさんと力を合わせ、憲法9条を守り抜くために全力でがんばっています。
比例650万票・5議席獲得へ猛奮闘を 自ら風を起こして
 参院選公示まで11日、投票 まで29日です。最後に勝利のため に何が必要ですか。
 渡辺 さきのいっせい地方選では、日本共産党は国保、介護、雇用などの暮らしの問題を訴えて支持を集め、5人に1人の議席を獲得しました。このいっせい地方選のがんばりがあったからこそ、参院選を前に、住民税増税など暮らしの怒りが日本共産党支持に結びつく可能性を切りひらけたのではないでしょうか。「9条の会」の一翼を担うこの3年余の粘り強いがんばりがあったからこそ、改憲と戦前への回帰を狙う「靖国」派への国民的な反発・警戒心を生み出し得たのではないでしょうか。
 この結果、 自民党の支持基盤が崩れて日本共産党への新たな注目が生まれ、 日本共産党議席の値打ちが見えやすくなっているのです。多くの有権者がどこに投票するか決めかねて模索している今こそ、打って出るべき歴史的瞬間です。他党が激しく動いている選挙情勢の厳しさを軽視せず、これを上回る活動で自ら風を起こしたい。
 比例650万票・5議席獲得の全党目標を実現し、自民・民主に追いつき、追い越す定数2の勝利で、日本と京都の新しい政治の流れを切りひらくために、力を出し尽くします。具体的には、音の宣伝、ビラの配布、ポスターの張り出しなど、全有権者に声が届く宣伝と対話・支持拡大、これらと一体で党員、「しんぶん赤旗」「京都民報」読者を増やし、党勢の上げ潮の中で選挙戦をたたかいます。
 21世紀の日本の夜明けも、やっぱり京都から!。相手の党略で延びた期間を勝利の条件に変えて、猛奮闘で勝ち抜く決意です。「京都民報」読者のみなさんの大きなお力添えをお願いします。
(「週刊しんぶん京都民報」07年7月1日付)