江戸時代の画家・伊藤若冲の名作「釈迦三尊像」(3幅、相国寺蔵)と「動植綵絵」(30幅、宮内庁三の丸尚蔵館蔵)が120年ぶりに一堂に会す展覧会が13日から、相国寺承天閣美術館で始まりました。開期は6月3日まで。
 33幅の作品は、錦小路の青物問屋を営んでいた若冲が、在家のまま禅の修業を励んだ相国寺に両親と弟、自らの永代供養を願って寄進したもの。廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で存亡の危機に陥った相国寺を救うために1889(明治22)、「動植綵絵」のみ皇室に献上されたため、以来「釈迦三尊像」と「動植綵絵」とそろうことはなく、今回、開基足利義満600年忌記念事業として“再開”が実現しました。
 今回の展示は、新築された美術館の第1室正面に「釈迦三尊像」、左右の面に「動植綵絵」を15幅ずつ配し、1目で全作品が視野に入るようになっています。ガラスケースの内側のみ照明を用いる展示方法で、退色のない絵画が当時の光を放ち、浮き上がるように見える趣向が取り入れられています。
 展示会前日の内覧会では、有馬頼底相国寺派管長は「若冲はこの世に存在するすべてが仏なんだというお釈迦(しゃか)様のお悟りを描いた」とあいさつ。若冲作品の蒐集(しゅうしゅう)家で知られる米国のジョー・プライス氏は、「相国寺に里帰り出来たことに若冲本人が一番喜んでいると思う。江戸時代の日本の美術がいかにすばらしいか、その中で若冲がいかに抜きに出ているか、多くの日本人に再確認して欲しい」と語りました。