江戸中期の明和6年(1769)創業の果物店が京町家を再生して営業を継続し、話題を呼んでいます。
 この果物店は烏丸丸太町東入ルの「香樹園 八百林」。再生した町家は、蛤御門の変(1864年)で焼け落ちた後、建てた際の材木が使われています。2尺3間(縦66センチ、横5メートル40センチ)の棟木や木に石を接いだ柱、江戸期の踏み石など、今ではあまり見られない建築材が見られます。長年貸家として維持してきましたが、老朽化で取り壊しの話も出る中、建築家の「再生できる。残しましょう」の一言で鈴木さんが、移転して営業を続けることを決意。京都市の京町家改修助成モデル事業の助成も受け、完成にこぎつけたものです。
 八百林は鈴木富久子さん(53)と娘の裕香さん(25)で営業。果物だけでなくフレッシュジュースやパフェもメニューに加わりました。「京都にきたらこの店に来たいといわれるようになりたい」と親子で老舗の看板を守っています。(開店した新店舗、右から裕香さん、富久子さん)