05年11月、転移性肺がんで他界した演出家で俳優(人間座)の芦田鉄雄さんが「週刊しんぶん京都民報」で連載した「人情味ばなしII 頑張れ若主人」(98年10月から03年10月)の出版を記念して、しのぶつどいが14日、京都市左京区の人間座スタジオで開かれ、演劇関係者ら約80人が参加しました。
 芦田さんの最後の舞台となった人間座45周年公演「人形師吉夘の余生」(03年10月)での熱演(問屋・立花役)ぶりがビデオで流され、共演した劇団京芸の藤沢薫氏が「芦田さんは、病状など一言も話さずに明るく魅力的な役をこなされた。公演の最後にガンと聞かされ、大変ショックを受けた。これからいろいろと一緒にやれると思ったのに残念」と語りました。
 人形京芸代表の谷ひろし氏が献杯の音頭をとり、参加者は次々とマイクを手に、芦田さんの中学生時代、京大学生劇団「創造座」時代などを振り返り、演出家、大学教員としての芦田さんの思い出を語り合いました。
 遺族を代表して長女が「子どものころは厳しい父親という面しか見えなかった。父ががんになったことで闘病中行動をともにすることができた。最後、あんな体になっても仕事に向かう『一人の演出家・芦田鉄雄』と関われたことに感謝しています」とあいさつしました。
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 本はB5判130ページのもので、府内55店を紹介。巻頭には、芦田さんの自己紹介文、演劇関係者の追悼文、芦田さんが所属した人間座の公演記録などが収められています。
 同書の問い合わせ先は、山本正志氏(TEL075・702・6705)まで。