生田流の筝演奏家で、古典を柱にしながら、新曲の演奏や洋楽器との共演などで筝の可能性を広げている福原左和子さん(京都市在住)が10月24日、京都市上京区の府立府民ホールアルティでリサイタルを開きました。
 冒頭、都を落ちのび、雪の吉野をさまよう静御前の心情をよんだ古典曲「雪の花」を継承者の少ない胡弓(こきゅう)で叙情的に弾いたかと思えば、2部では、現代邦楽の基礎を築いた沢井忠夫氏が『火垂るの墓』(野坂昭如)から着想を得た「火垂る」を、大型の筝=十七絃に持ち替え、鬼気迫る演奏で披露。
 プログラムの最後は、このリサイタルのために米国人尺八奏者、ジョン・海山・ネプチューン氏に作曲を委嘱した「ながれぐも」を同氏と筝で共演しました。インド古典音楽の旋律を使い、拍子やリズムを次々変える高度な曲。独奏では緩急をつけて優雅に舞うように演奏し、二重奏では複雑なリズムであることを忘れさせるような息の合ったところを見せました。
 アンコールは、沢井氏の「鳥のように」を思い入れたっぷりに演奏しました。