人間国宝・常磐津一巴太夫(ときわず・いちはだゆう)さんは28日、お宿「吉水」(京都市東山区円山公園内)の庭の特設舞台で史上初の薪(たきぎ)常磐津に挑戦します。
 一巴さんは京都祇園で生まれ育ち、門閥もない一般の出身ながら、江戸浄瑠璃・常磐津の唯一で初の人間国宝に選ばれました。歌舞伎や文楽の舞台で上演されるのが一般的な常磐津ですが、一巴さんは近年、語りものの魅力を広く知ってもらおうと、三味線の伴奏だけで披露する「素浄瑠璃(すじょうるり)」の上演に尽力してきました。薪能の公演を企画してきた吉水の提案で、薪常磐津を行うことにしました。
 演目は「恨葛露濡衣(うらみくずつゆにぬれぎぬ)―道行より久八意見まで」。一巴さんが声色一つで登場人物を演じ分けます。庭の野外舞台での上演は、臨場感あふれるものになりそうです。
 薪常磐津の前には、「一巴太夫の芸と素顔」と題して、一巴太夫さんと演劇評論家・権藤芳一さんの対談が予定されています。
 午後4時開演。入場料5000円。80席。希望者は早めに予約のこと。問い合わせ先=お宿吉水TEL075・551・3995。