推理小説作家の綾辻行人さんは22日、母校の京都大学(京都市左京区吉田)で開かれた公開講座で「私の本格ミステリ観ー“新本格ムーヴメント”と京大推理小説(ミステリ)研究会」をテーマに講演しました。
 小学校4年生のときに江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズを読んで、推理小説に魅せられたという綾辻さんは、推理小説研究会にあこがれて京都大学に入学したことを紹介。同研究会で初めて発表した作品が11月祭の教育学部棟を舞台にした「Pの悲劇」というタイトルだったことや、4回生時に体調を崩して留年した結果、翌年に入学した法月綸太朗氏や我孫子武丸氏と出会い、新たな本格ミステリーブームを起こすことになったーーなどのエピソードを披露しました。
 日本の推理小説の歴史をたどりながら、新たな本格ミステリーが受け入れられた背景を分析するとともに、新たな本格ミステリーがホラーやSFなどの要素を有機的に取り入れて発展したものであることを解説しました。
 会場から出された「子どものときにどんな推理小説を読み、どんな印象を持ったのですか」、「ホテルに缶詰になったら書けますか」といった質問にもていねいに答えていました。