「小学校の中に消防署を建てるなんて、 何を考えているのか」。宇治市立大久保小学校の敷地内に、消防分署を移転し小学校と合築するための設計委託予算案が同市議会で10月12日に可決されたことに、保護者らが猛反発。「反対の世論を広げて、 合築計画をストップさせよう」 と撤回を求める署名運動を始めました。
全国に例がない
  「サイレンによる影響や大型車両の緊急出動時が不安。もともと狭い学校なのにグラウンドを削ってまで合築するなんておかしい」。同小に通う4年生の母親は訴えます。
 小学校と消防署の合築は全国でも例がなく、▽グラウンドの有効面積のさらなる減少につながる▽育成学級の敷地が削られる▽児童への影響が十分検証されていない▽関係者への説明がない▽消防分署の場所として適地でない─と保護者や教育関係者、近隣住民らが強く反発しています。
 9月議会開会中、同校育友会は臨時総会を開いて合築計画への反対を決議し、久保田勇市長らに再考を要望。 大久保育成学級保護者会や同校教育後援会も市に反対の意向を伝えました。「大久保小学校の建て替えを考える会」(布川庸子代表)は、説明会開催を求める2537人分の要望署名を市長らに提出しました。
共産、社会が修正案
 合築設計委託予算案が可決されてからも、広野地区自治会連合会、大久保校区青少年健全育成協議会、大久保学区福祉委員会、大久保学区体育振興会、広野女性の会、大久保小学校開放運営委員会、市子供会連絡協議会大久保支部の7団体が20日、計画の撤回を求めて市長に申し入れました。
 反対署名を始めた 「考える会」 は24日、広野公民館で開いた集会で、反対する団体への協力を求めたり、市全域で署名を集めようと決意を固め合いました。
 2年生と5年生の母親で集会に参加した長束紀子さん(36)は、「多くの署名を集め、市民の意思を市に届けたい。計画を撤回させるまでがんばります」 と話していました。
 大久保小学校は、児童1人当たりのグラウンド面積が市内で最も狭く、また校舎の老朽化、狭い体育館など施設改善が急務となっていました。宇治市は昨年度から全面改築計画を進め、 今年7月までに体育館の新築、プールを校舎の上に設置、グラウンド面積を7700平方メートルに広げると説明してきました。
 ところが9月市議会を前に突然、消防分署との合築計画を発表。9月市議会に示した計画の基本構想では、体育館の建て替えは見送られ、プールは消防分署の上に設置、グラウンド面積7281平方メートルへ当初計画から約400平方メートルも削られました。
自・公・民が否決
 9月市議会で日本共産党宇治市議団 (水谷修団長、8人)は、合築設計委託予算を削除する修正案を社会議員団とともに提出。しかし自民、民主、公明などの反対で否決され、合築設計委託予算を含む補正予算案が原案通り可決されました。
(「週刊しんぶん京都民報」05年10月30日付掲載)